エギングは身近な堤防などで、イカの王様ともいわれる美味しいアオリイカ釣りを楽しめて、アングラーに人気な釣りです。今回はそんなエギングに使うエギングロッドについて、初中級者向けに選び方を紹介した後に、価格帯別でおすすめを紹介したいと思います。
エギングとは
エギングとは、エギという日本生まれの漁具から作られたルアーでイカを釣る釣りです。エギの歴史は300年以上前にさかのぼると言われており、古くは奄美大島で発祥し、江戸中期に薩摩に伝わったと言われているそうです。昔のエギは地域により様々な形が作られ、変遷した後に現在の形に落ち着いたそうです。
現在のエギはエビに似た形をしており、前方にオモリが付いていて前傾姿勢で沈むようなものが主流です。エギングではこのエギをキャストして、底までフォールさせたのちにロッドをシャクってエギをアクションさせて浮かせ、またフォールするというのが基本動作になります。形はエビに似ていますが、小魚をイメージして動かします。
エギングではこのシャクってフォールしてという基本動作を繰り返すことが特徴のため、一日中しゃくり続けても疲れないよう、タックルも軽量なものが求められ、専用のものが多く発売されています。
エギングロッドとは
エギングロッドは、エギングのために作られた竿でシャクり続けても疲れないために軽く作られています。イカの繊細なあたりやエギの着底感覚を捉えられるように感度を高く仕上げられているものが多いです。
長さは7ft~9ft台までが主にラインナップされており、扱うエギの重さや釣りをするフィールド、必要な遠投性能などを基準に長さと硬さを選ぶことになります。
また、エギングロッドは軽量かつシャキッと作られたブランクスの扱いやすさから汎用性が高く、様々な他の釣りに流用できる万能ロッドでもあります。
ちょい投げ釣りやさびき釣りにももちろん使えますし、スーパーライトショアジギングやシーバス、フラットフィッシュゲームなどにも幅広く使えるため、釣り初心者の方が最初に買う一本としてもおすすめです。
エギングロッドの選び方
エギングロッドの選び方について、ポイントを解説します。エギングロッドを選ぶ際に必ずチェックしてほしいのは主に下記の3つのポイントです。
- ロッドの長さ
- ロッドの硬さ
- ロッドの重量
エギングロッドの長さ
エギングロッドを選ぶうえでまず決めたいのがロッドの長さです。ルアーフィッシングの本場であるアメリカの影響で、ルアーロッドの長さは大体ft(フィート)で表記される場合が多いです。日本人には馴染みがない単位なのですが、ルアーロッドを色々と使っているうちにメートルに直さなくても長さの感覚がついてくる思います。
〇標準的な長さの竿
エギングロッドの長さは7ft~9ft台(約2.1m~2.9m)のものが主にラインナップされています。釣り場の環境や規模、やりたい釣りのスタイル、遠投性などを考慮して長さを選ぶことになりますが、8ft台中盤の竿がもっともバランスのいい長さです。
キャストして、沈めて、シャクって、沈めて、アタリを取ってというエギングの基本動作を覚えるには8ft台中盤の標準的な長さの竿が最も扱いやすいので、初めの一本や、汎用性の高い一本が欲しい方は、まずは8.6ft前後の竿を買いましょう。
色々な釣りのスタイルに汎用的に対応できるため、初級者、中級者の方はまず8.6ftを選んでおけば間違いないです。遠投性能と取り回しの良さ、シャクりやすさ、ラインメンディングのやりやすさなどのバランスが最も良いのが8.6ftの竿で、エギングロッドの標準的な長さです。
〇短い竿
標準となる8.6ftに対して、よりテクニカルな釣りをしたい場合は7ft台など8ft以下の短いものを選びます。テクニカルな釣りというのは具体的には、細かいシャクリでイカにアピールするスタイルでやりたい場合だったり、小場所で狙いの場所にピンポイントにキャストするなど遠投をそんなに必要としない釣りのことを指します。
スラックジャークと呼ばれる、ラインをたるませて早く大きくシャクるようなしゃくり方は短いロッドのほうが取り回しがいいので、エギングに慣れてきてよりテクニカルなシャクリやフォールをやりたくなった場合に短いロッドを検討するといいでしょう。
また、手元の感度という点でも、短い竿のほうが感度が高い傾向にあるためメリットが有ります。秋イカシーズンの小さなイカの繊細なあたりをとったり、冬場の活性の低いイカの当たりをとったりというシーンでは、短いロッドが力を発揮する場面もあります。
一方で、短いロッドを選ぶ際に注意してほしいのは、キャスティング性能という点では短い竿は飛距離が出にくくなります。特に慣れない方はなかなかエギを遠くに飛ばすのが難しくなってしまうと思います。
また、大規模な漁港や堤防などでは足場が高くて水面までの距離が遠い場合があり、そのような釣り場では短いロッドではラインメンディング(水面にロッドの先端を近づけて糸ふけをコントロールする技術)しづらくなります。海面まで距離があるフィールドで釣りをすることが多い場合はあまり短いロッドは選ばないことをお勧めします。
〇長い竿
ポイントまで距離がある場合や、砂浜でのエギングなどのように遠投が必要な場合には9ft台の長いロッドを使います。足場が高くて海面までの距離が遠い場合などにもロングロッドのほうがラインメンディングしやすく、有利になります。
長いロッドのメリットは何といってもその遠投性にあります。他の人が届かないところまでエギを投げ入れることが出来れば、その分チャンスは広がります。エギング人気によりプレッシャーが高まっている昨今で、人が攻めていないポイントを攻められる、という点にロングロッドのメリットがあると言えるでしょう。
しかし、長いロッドは遠投性には優れている反面、ロッドの重量が重かったり、ロッドの重心が先端方向に行きやすいためシャクリの際に重く感じるというデメリットがあります。先重りになりやすいため、どうしても手元の感度の面でも不利になりがちです。
ロングロッドを一日振り続けるのは疲れるで、どうしても飛距離が欲しいときや風があって水面付近まで竿先を下げてメンディングがしたい場合などに使うために、セカンドロッドとしてロングロッドを持っていくというのもアリだと思います。
エギングロッドの硬さ
長さが決まったら次にロッドの硬さを選びます。エギングロッドは軟らかいほうから順番にL、ML、M、MHとなっています。硬さは基本的に使うエギの号数に合わせて選んでください。
一般的によく使われるエギサイズの2.5~3.5号をメインで使っていく場合はMLが扱いやすいです。このMLを基準として、もう少し軽い2号クラスのエギを扱いたい場合は軟らかいLを選び、4号クラスなどの重たいエギを扱いたい場合はMやMHの硬いロッドを選びましょう。
初中級者の方が比較的釣りやすい秋イカのシーズンに使うなら、2.5から3号のエギがメインになってきますのでMLを選ぶと良いでしょう。産卵シーズンである春に大型のイカを3.5号や4号のエギで狙う場合にはMやMHが扱いやすいです。
一つ勘違いしないで頂きたいのは、ロッドの硬さを選ぶ際に狙うイカの大きさはあまり気にしないでください。春イカシーズンならMやMHがおすすめというと、大型のイカを獲るためにには硬い竿が必要だと勘違いしてしまう方が結構います。
2kgクラスの大型のイカでもMLアクションやLアクションのロッドでも十分に獲ることができます。あくまで、大型のイカを狙うために4号などの大きいエギを使う場合は硬めの竿のほうが扱いやすいというだけで、春イカシーズンでも3号や3.5号をメインに使うのであればMLのロッドで十分に対応できます。
エギングロッドの重量
長さと硬さが決まったら、次にチェックしたいのはロッドの重量です。エギングは既に説明した通り、キャストしてシャクってというのをひたすら繰り返します。この動作を一日中繰り返すには、基本的にロッドは軽ければ軽いほど良いです。
感度の面でも、先端が軽くて重心が手元に近い竿ほど感度が良くなります。
このように重量は重要な要素ではあるのですが、軽いロッドほど価格は高くなっていく傾向にあります。よく120g以下が目安と言われている方もいらっしゃいますが、私は初心者の方が初めからあまり高い竿を買うよりは、リーズナブルな道具で楽しさが分かってから必要に応じて買い替えるほうがいいと思っています。
なので、何グラム以下でなければエギングは出来ない!ということはないので、予算内で出来るだけ軽い竿を選びましょうというのが私の結論です。
価格帯別 おすすめエギングロッド
それではここからは、具体的におすすめのエギングロッドを価格帯別に紹介していきます。予算に合わせてロッド選びの参考にして頂ければと思います。
5000円前後
五千円前後のエギングロッドは、釣り初心者の方や初めてエギングをやる方にとっても、手を出しやすい価格帯だと思います。上位機種と比べれば重量や機能、性能の点で勝てないところはありますが、エギングをまず始めてみるのに必要な最低限の性能を備えたモデルを紹介します。
①タカミヤ H.B コンセプト ライトステップII エギング
ライトステップII エギングはタカミヤが発売しているエギングロッドの入門モデルです。タカミヤは福岡県に拠点を置く会社で、釣り具の製造のほか、小売店として「釣り具のポイント」を展開していることでも知られてます。
ライトステップII エギング の魅力は何といってもその価格の安さです。実売価格は3000円台という格安価格ながら、エギングに入門するのに最低限必要な性能を保持しています。2~4号のエギを扱えるオールラウンド仕様で、全シーズン対応できます。
重量は169gと少し重いですが、それでもこの価格帯でエギングに入門できるならば十分と言っても良いと思います。エギングをやってみたいけど、長く続けるかは分からないのでひとまずエギングを出来る道具を揃えて入門してみたい、という方におすすめの一本です。
②メジャークラフト ファーストキャスト エギング
ファーストキャストエギングは、メジャークラフトのエギングロッドの入門モデルです。手軽にエギングを楽しめるためのバランスの良いブランクス性能を持っており、これからエギングを始める方に最適です。
ガイドはOリングのステンレス製であったり、上位機種と比べれば必要最低限の装備になっていますが、実売で6000円台程度という価格を考えると十分と言えます。ロッドの重さはメーカーとしては非公表ですが、価格の割に比較的軽いロッドであるという評判です(実測で110g程度というレビューもありました)。
価格は抑えつつ、軽量で扱いやすいロッドが欲しい、という方にはおすすめの一本です。
1万円前後
1万円前後のエギングロッドは、入門モデルでありながら軽さや性能もある程度妥協したくないという方におすすめの価格帯になってきます。各社特徴のあるモデルが販売されていますので、参考にして頂ければと思います。
③シマノ ソルティアドバンス エギング
ソルティアドバンスシリーズはシマノのソルトルアーの入門モデルとして様々なソルトルアーフィッシング向けのモデルがラインナップされています。エギングモデルもあり、入門モデルでありながらエギングのやりやすさにつながる性能が詰め込まれています。エギングモデルは8.3ft、8.6ftの長さで、硬さはMLとMで全4種類がラインナップされています。
実売で1万円を少し切る価格帯ながら、90g(86ML)と非常に軽量になっておりシャクリの軽さはこの価格帯とは思えません。
また、オールKガイド(ステンレス)を搭載しており、PEラインを使うエギングで起こりがちなガイドへのラインの絡みを低減することが出来ます。竿の性能というとブランクスの性能に注目しがちですが、このKガイド搭載というのはライントラブルが少なくなるという点でとても違いが出てくる点です。
トップガイドにはSiCリングが使われており、PEラインを使った釣りでの熱によるラインの劣化やガイドリングの摩耗などが少なく、こちらもライントラブルを減らすことにつながります。トップガイド以外はSiCではありません。
リーズナブルな価格帯ながら、軽量かつライントラブルの少ない快適な釣りを楽しみたいという方にはおすすめの一本です。
④シマノ セフィアBB
セフィアBBはシマノのエギング専用タックルシリーズ「セフィア」の初級モデルのロッドです。ソルティアドバンスとの大きな違いは、ハイパワーXが搭載されている点です。
ハイパワーXはキャスト時やファイト時のブランクスのネジレを抑制する強化構造のことで、これによりキャストの精度や飛距離が格段にアップします。大型のイカとのファイト時にもこのねじれないブランクスの性能が発揮されることになります。
15000円以下という実売価格で、ハイパワーX搭載モデルのブランクス性能を使えるというのはとてもコスパが高いと言えると思います。
ガイドはオールKガイドで、トップのみSiCのガイドリングを採用しています。贅沢を言えばオールSiCが欲しいところではありますが、コストと性能のバランスをとってこのような仕様としているのだと思います。
重さは105g(S86ML)で、多少ソルティアドバンスよりも重いですが、このクラスとしては十分に軽いロッドです。
長さと硬さのラインナップは全16種類がラインナップされており様々なスタイルに対応することが出来ます。22年のモデルチェンジで、ソフトチューブトップのモデルがラインナップされたことでさらに幅広いスタイルに対応できるようになりました。
ハイパワーX搭載のブランクスをコスパよく使いたい、という方にはおすすめの一本です。赤を基調としたデザインもカッコ良いと思いますので、赤いロッドが好きな方にもぜひ使っていただきたいです。
⑤ダイワ エメラルダスX
エメラルダスXはダイワのエギング専用タックルシリーズであるエメラルダスの初級モデルロッドです。こちらのモデルは、ダイワのネジレ抑止強化機構であるブレーディングXを搭載しており、ブランクス性能がリバティクラブと比べて強化されています。
自重は120gとセフィアBBよりは少し重いです。ガイドについてはセフィアBBと同様にKガイド搭載で、トップガイドはSiCリングを使用しています。このモデルも、高いブランクス性能を搭載しつつコストを抑えるために、ガイド等でバランスをとっているのでしょう。
リバティクラブエギングと同様、インターラインモデルもラインナップされていることが特徴です。また、ヒイカ専用モデルとして6.1ftのショートレングスのライトエギングモデルもラインナップされているのが特徴的です。
デザインはダイワのエメラルダスは、その名の通りエメラルドグリーンを基調としたデザインが特徴的です。一目でエメラルダスだとわかるそのデザインは釣り場でも目立ちます。
ブレーディングXを搭載したブランクス性能の高いロッドをお手ごろな価格でインターラインも含めた豊富なラインナップから選びたいという方にはおすすめの一本です。緑のデザインが好きな緑派の方も是非試してみてください。
2万円前後
2万円台のエギングロッドは、エギングに慣れてきてもう少しステップアップしたい中級者の方におすすめの価格帯です。上級者の方でも十分に使い続けられるモデルがラインナップされているため、長く使える性能の良いミドルモデルが欲しい方は是非参考にしてください。
⑥シマノ セフィアSS
セフィアSSはシマノのセフィアシリーズの中ではミドルクラスに位置するロッドです。ハイパワーXやスパイラルXといった強化構造を採用したブランクス性能に加え、CI4+というシマノ独自の軽量素材を使用することでロッド全体の軽量化も両立したモデルになっています。
自重は93g(S86ML)と、セフィアBBよりも10gほど軽くなっており、シャクリの軽さも非常に快適です。私はメインロッドの一つとしてこのセフィアSS S86Mを使っていますが、その軽さで釣りの快適さを維持しつつ、飛距離やイカとのやり取り時のバットパワーの強さ、高い感度を実現しているこの竿にとても満足しています。
感度も申し分なく、秋イカシーズンの100g以下のクラスのアオリイカのイカパンチも感じ取れるほどです。
価格は2万円前後と少し高くなってきますが、このレベルの竿が2万円で手に入るのは素晴らしいコストパフォーマンスだと思っています。洗練された赤いデザインも高級感があってカッコいいです。
エギングに慣れてきて、感度や軽さ飛距離などでより高いレベルのロッドを自分のスタイルに合わせて選びたい、という中級者の方にはこのクラスのロッドを是非手に入れていただいて、エギングをもっと楽しんでいただきたいと思います。
⑦ダイワ エメラルダスMX
エメラルダスMXはダイワのエメラルダスシリーズの中でミドルクラスにあたるエギングロッドです。X45、MEGATOP、AIR_SENSOR_SEAT、HVF NANOPLUSといった上位クラスにも使われるテクノロジーを搭載し、高いブランクス性能により感度とバットパワーを両立しています。
下位グレードではセフィアよりも重めだった重量も、このMXではセフィアと同等の95g(86ML)を実現しており、シャクリの軽さも申し分ない仕上がりになっています。このクラスのロッドのブランクス性能と軽さは、入門モデルから買い替えると本当に驚くと思います。
こちらのロッドもインターラインモデルもラインナップされているところは特徴です。
こちらも価格は2万円台と少し高くなってきますが、中級者の方がステップアップのために買う道具としてはとてもコスパの良いロッドだと思います。上位機種に迫る性能を手にいれてエギングの幅を広げたいという中級者の方で、緑のデザイン派の方には是非使っていただきたいロッドです。
⑧メジャークラフト エギゾースト5G
メジャークラフトのエギゾースト5Gは、上位機種に使われるようなテクノロジーや素材が使われている、この価格帯とは思えないコスパの高さで話題のエギングロッドです。
東レのT1100Gカーボンという最新のカーボンシートを使用していたり、ロッドのネジレ、ブレを最小限に抑えるR360構造という新構造を採用したりなど、最新技術がふんだんに盛り込まれています。
ガイドもカーボンフレームのSiCガイドなど他メーカーの最上位機種に搭載されるようなテクノロジーを搭載して、軽量化とブランクス性能、ガイド性能を両立しています。自重はメジャークラフトの方針で公表されていませんが、搭載されている技術を見る限り、高いレベルにあると思われます。
この最新の技術が山盛りのロッドが2万円台前半の実売価格で買えるのは、高いコストパフォーマンスのロッドを作り続けているメジャークラフトらしさを存分に発揮しているなと思います。
大手2社以外の竿で、コスパ良く高い性能の竿を使ってみたいという方は是非使ってみてください。
以上、今回は主に初級中級者の方向けにエギングロッドの選び方と価格別のおすすめについて紹介しました。これからエギングを始めたい方や、ステップアップしたい方の道具選びの参考にして頂ければと思います。